君との想い出が風に乗って消えても(長編・旧)
加恋ちゃんがくれたチョコレートは、ピンクのかわいいラッピングがされていた。
結んであるリボンもとてもかわいい。
僕は加恋ちゃんからもらったチョコレートをジッと見ていた。
そしてあることを思った。
「……ねぇ……加恋ちゃん……」
「なぁに、優くん」
笑顔の加恋ちゃん。
「……食べさせて」
「……え……?」
「チョコレート、加恋ちゃんに食べさせてもらいたい」
僕は加恋ちゃんに甘えたことを言った。
「……優くん……」
「お願い、加恋ちゃん」
僕は加恋ちゃんの方をジッと見つめた。
「……うん……わたしでよければ……」
加恋ちゃんは少し恥ずかしそうに言った。
「何言ってるの、加恋ちゃんだから食べさせてもらいたいんだよ」
僕は身を乗り出すようにそう言った。
「……優くん……」
そして僕と加恋ちゃんは公園のベンチに座った。
ベンチに座って、僕はまずラッピングされているリボンをほどいた。
リボンをほどいてラッピングされているのを広げると箱が見えた。