君との想い出が風に乗って消えても(長編・旧)



 なぜかわからないけど、僕は涙が止まらないまま歌い続けた……。



 結局、僕は歌い終わるまで涙が止まらなかった。



 そして歌い終わっても……。





「……ありがとう、歌わせてくれて。明日もまた来るね」


 僕は、一輪の花やたくさんの草花たちにそう言ってこの場所を出ようと歩き出した。





『優くん……』





 ……え……?


 今……。


 今……『優くん』……って……。


 僕は慌てて後ろを振り返った。


 でもそこには誰もいない。


 あるのは一輪の花やたくさんの草花たち。


 ……気のせい……かな……。


 僕はそう思い、一輪の花やたくさんの草花たちにもう一度「じゃあ、また明日ね」と言って、また歩き出そうとしたとき……。





  ~♪~ ~♪♪~ ~♪~ ~♪♪~ ~♪~ ~♪♪~ ~♪~





 ……え……?


 ……なんで……なんで……。


 なんで今、僕が歌っていた歌が聴こえてくるの……?


 僕は、また慌てて後ろを振り返った。


 でもやっぱり一輪の花やたくさんの草花たちが存在するだけ。


 ……これは……。


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