君との想い出が風に乗って消えても(長編・旧)
もし加恋ちゃんに訊いて『そうだよ』と言われてしまったら、僕はショックで落ち込んでしまう。
……でも……でも……このままでは……。
僕は、やっぱり加恋ちゃんに訊こうと思った。
「……加恋ちゃん……楽しい……?」
「え……?」
「……僕と一緒に店をまわったりすること」
僕は加恋ちゃんに勇気を出して訊いた。
「楽しいよ」
加恋ちゃんは、そう言ってくれたけど……。
「本当? 本当にそう思ってる?」
僕は心配で……。
「どうしたの? 優くん、そんなこと訊いて」
「……だって……加恋ちゃん……」
「優くん……?」
「店をまわっているとき僕がいろいろ言っても、なんか……なんか……」
「優くん……」
僕と一緒にいても楽しくないのかなって……。
「優くん……ごめんね……」
……加恋ちゃん……?
「……え……? 加恋ちゃん……その『ごめんね』は一体……?」
「あ……違うの。今の『ごめんね』は変な意味じゃなくて……」
変な意味じゃなくて……?
「……わたし……お祭りに来るのが初めてで……」