君との想い出が風に乗って消えても(長編・旧)



 もし加恋ちゃんに訊いて『そうだよ』と言われてしまったら、僕はショックで落ち込んでしまう。


 ……でも……でも……このままでは……。

 僕は、やっぱり加恋ちゃんに訊こうと思った。


「……加恋ちゃん……楽しい……?」


「え……?」


「……僕と一緒に店をまわったりすること」


 僕は加恋ちゃんに勇気を出して訊いた。


「楽しいよ」


 加恋ちゃんは、そう言ってくれたけど……。


「本当? 本当にそう思ってる?」


 僕は心配で……。


「どうしたの? 優くん、そんなこと訊いて」


「……だって……加恋ちゃん……」


「優くん……?」


「店をまわっているとき僕がいろいろ言っても、なんか……なんか……」


「優くん……」


 僕と一緒にいても楽しくないのかなって……。


「優くん……ごめんね……」


 ……加恋ちゃん……?


「……え……? 加恋ちゃん……その『ごめんね』は一体……?」


「あ……違うの。今の『ごめんね』は変な意味じゃなくて……」


 変な意味じゃなくて……?


「……わたし……お祭りに来るのが初めてで……」


< 78 / 239 >

この作品をシェア

pagetop