君との想い出が風に乗って消えても(長編・旧)



 ……それなのに……。

 ……こんなときに……。

 加恋ちゃんの体調が良くなりかけているとはいえ、加恋ちゃんは体調が良くなかったのは事実だ。


 それなのに……僕は……一体何を考えているんだ。

 加恋ちゃんの……やさしい寝息が……僕の耳元で聞こえて……。

 ……って、ダメだ‼ ダメだ‼ まったく僕は‼

 加恋ちゃんは体調が良くないのに‼


 ……じゃあ……もし加恋ちゃんの体調が良かったら……。

 ……って、違う‼ 違う‼ 違う‼

 まったく僕は‼


「……ん……」


 ……加恋ちゃん……‼


 加恋ちゃんが目を覚ました。


「加恋ちゃん……」


「……優くん……」


「加恋ちゃん、体調はどう?」


「……うん……だいぶ良くなったよ……」


「よかったぁ」


 僕は加恋ちゃんから、加恋ちゃんの体調が良くなったことを聞いて安心した。


「……優くん……」


「うん?」


「……ありがとう……」


「うん?」


「……お水……飲ませてくれて……」


 ……‼


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