君との想い出が風に乗って消えても(長編・旧)
加恋ちゃんは体調不良なのに、なぜそこまで僕に家まで送られることを拒むのだろう……。
……いや……もしかしたら拒んでいるというのは気のせいかもしれない。
本当にただ遠慮しているだけかもしれない。
加恋ちゃんは気遣いの子だから、僕に悪いと思って遠慮しているだけなのかもしれない。
拒んでいるのかそうではないのかとか、深く考えていても仕方がない。
深く考えるのはやめておこう。
僕は、そう思うことにした。
そして、さっき待ち合わせた公園に着いた。
「加恋ちゃん、本当に大丈夫?」
「うん、大丈夫。ありがとう、優くん」
「本当に無理しないでね」
「ありがとう」
加恋ちゃんは大丈夫と言ったけど、僕はやっぱり加恋ちゃんのことが心配だった。
「優くん」
そんなとき加恋ちゃんが僕の名前を呼んだ。
「うん?」
「今日は本当にごめんね」
「いいよ、そんなこと」
「優くん」
「うん?」
「また会いたい」
加恋ちゃん……。
「僕も会いたい」
会いたくて会いたくてたまらない。