夜勤と朝日
私は美大に行く為に、画塾に通っていた




好きだったことも極めようとすれば
それが嫌いになってくることもある


私は、軽度の鬱病になった



学校が終わり、画塾に行くまでの道のりは
苦痛だった。

吐き気、頭痛、腹痛。

この世界が、全部敵に見えた








そんな中で彼と再会を果たした



家に帰って
半年ぶりに開いてみたのだ
彼と出会ったあるサイトを。








数日後、
そのサイトで見覚えのある人をみつけた

彼だった

紛れもなく、半年前に消えたあの人



サラサラの目が隠れる程の前髪と
毒キノコみたいな頭

ツンっと高い鼻と白い肌


文字だけで書けば、
イマドキの人 という印象だ
 

しかし、何処か独特な雰囲気と
話しかけづらい印象



私は舞い上がった。


話しかけた。




返事がきた、きてしまった。




「覚えてるよ」と。


嬉しかった
私だけが一方的に覚えていたのではなかったことが。




その後も会話を続けた

彼も私を思い出してくれていたこと
バイト先を変えて嫌な上司から解放されたこと
猫を飼ったこと



この半年の間で起こったことを
2人で話し尽くした






彼は今日も夜勤だ



何故か私は嬉しかった。

半年前と同じ感覚、同じ話し方

半年の空白が無かったかのように、
繋がっている気がした。



『いってらっしゃい』

「いってくる」




これだけで何も無かった1日が、
十分彩られた


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