浅葱色の約束。─番外編─
首筋にはあっと熱い息がかかって、噛み付くように少し歯を立てたその人は。
まるで先程の男に触られた場所を跡形もなく自分色に染めていくみたいだった。
「ぅ…ぁ…っ、」
思わずピクンと、体が跳ねる。
それでも逃がしてなんかくれない。
気付けば帯はほどかれて、いつほどいたのかと、そう思ってしまうくらい全然分からなかった。
さすがだ…とも思った。
「す、ストップ…」
彼からしたらその言葉は通じない、だからこそあえて言った。
普通に「待って」と言ったって、たぶん今回は通用しないだろうから。
その空気感が分からないほど私は子供じゃない。
そしてこの先行われるものが想像出来ないほど、子供ではない。
「こ、こういうのは…お父さんに教えてもらっていない……ので…」
土方さんの動きは止まる。
───かと、思えば。
「…なんつう状況であの人の名前出してんだてめえは。……複雑すぎるだろうが」
呆れるような目で、じっと見つめてくる。
少しだけいつもの彼が顔を出したらしい。
「だ、だって…たぶん、すごいことするから……」
「あぁ、するよ。残念ながら今日は気絶しようが倒れようが止めねえからな」
「…鬼だ…」
「言ってろ。いい加減てめえも覚悟決めろってんだよ」
私だって本当は期待していなかったわけじゃない。
もう、子供じゃない。
嬉しいって思ってる自分だっている。
でも、この先に進むなら言っておかなきゃいけないことがあって。
「あ、あのね…、」
もしかしたら引かれてしまうかもしれない。