浅葱色の約束。─番外編─
みんな変わっていなくてね、私のことを1度だって責めたりしなかった。
それどころか「大丈夫」なんて。
相変わらず背中を押してくれちゃうから。
「…俺も総司の声を聞いた」
「沖田さん、なにか言ってた…?」
「……相変わらず皮肉なこと言ってただけだ」
「ふふっ、沖田さんらしいね」
2人はいつも兄弟みたいだった。
兄をからかって遊ぶ弟と、そんな弟に振り回される兄。
「私も沖田さんから土方さんに伝言を預かってるの」
彼はあのとき、私の耳に唇を寄せて内緒話をするみたいに言った言葉があった。
「“悪く思わないでくださいよ土方さん”」
悪戯に笑って。
すごく幸せそうに笑って。
「“僕、あなたの可愛いお嫁さんを抱き締めて口付けしちゃいました”」
土方さんにこう言っておいてって。
そうすれば君の悩みなんかすぐに吹き飛ぶよって。
彼はそう言って、満足そうに空へと溶けていった。
「…あっんの野郎…」
土方さんは低く呟いて、私の唇を強引に奪う。
「んんっ…!───わ…っ」
そして再び押し倒して覆い被さった。
「てめえも他の男の話なんかしやがって。俺は手加減は性に合わねえんだ」
覚悟しろよ───。
「え…っ、私、なにもわからなくて初めてで…っ、それに痛いって土方さんも言ってた…」
「安心しろ。…俺の持ってる技すべて駆使して優しくしてやる」
お前は俺に全て委ねてりゃあいい───。
なんか凄いことを言われたような気がする…。
でも本当に彼は優しい顔をしていた。