浅葱色の約束。─番外編─
そもそも私は未来で既に事故で死んでいた。
もしここから未来に戻ったとしても、同じように生きている保証はない。
その可能性はきっとかなり低い。
「大丈夫だ、誰がそんなとこに戻すかよ」
これだけは断言出来ること。
それは、過去にも未来にも私は存在しないものとなる。
咲ちゃんに何かあれば私は生まれないのだから。
そして私は1度、彼女の未来を変えてしまっている。
その上でもなんとかこうして生きて来たけれど、彼女は私と出会わなければ朔太郎とずっと生きていた。
そして朔太郎もまた、生きていた。
「いいのかなぁ、こんなに幸せな最期で……みんなの未来変えてきちゃったのに…っ」
そんなとてつもない罪人がこんなにも幸せに暮らして、たくさんの思い出が出来て。
最期は愛する人の腕の中で。
「…それでも、お前に出会ったことで幸せになった奴も居んだよ」
土方さんは体を離すと、頬を隠すようにそっと両手で包み込んだ。
ポロポロ伝う涙をやさしく唇ですくってくれる。
「罪人なんかじゃねえ」と、呟いて。
「言ったろ、俺は必ずお前を引き摺り出すって。───…離さねえぞ俺は」
それでこんなにも嬉しい言葉をくれてしまう。