浅葱色の約束。─番外編─




チカチカと点滅するように、透けたり戻ったりを繰り返す体。

手を伸ばして触れようとしてもやっぱりスルッと通り抜けてしまった。


昔も同じ、土方さんを掴もうとしたけど掴めなくて。



「っ…、」



触れていてもいなくてもそんなモン知ったこっちゃねえと、彼はきっとそう思ってる。

優しくて静かな口付けは、いつも乱暴な土方さんじゃないみたい…。


「ついて来い」と言って前を走るあなたが、今は「行くな」と私の腕を掴んでいるようで。



「私が前に…お手紙に書いたこと、覚えてる…?」



本当はこんなこと言いたくない。
こんな最低なこと言って離れたくない。

それでもそれくらいに私はあなたが大切で、あなたの命は私の命よりも大事だから。



「土方さんの幸せは…私の幸せですって、…だから私のことは気にしないで、もし素敵な人が今後現れたら、」


「黙れ」


「ん…っ!」



今度は激しいものに変わった。

いつだって土方さんには、私の考えていることはお見通し。



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