浅葱色の約束。─番外編─
でも一番嫌なのは、私に魅力がないせいで土方さんが悪く言われてしまうこと。
あんな女を嫁にもらっている───なんて。
新撰組副長、旧幕府軍指揮官。
そんな彼の地位に泥を塗ってしまうような気がして。
「…なに泣いてんだよ」
そして私は泣き虫になった。
昔はどんな暴言を吐かれても馬鹿にされても全然平気だったのに。
「ごめんなさい…っ、ごめんなさい土方さん…」
「その理由を俺は聞いてんだ」
てめえは本当に謝ってばかりだな───。
乱暴なのに、その声は優しい。
「私に…魅力ないから……とりわけ美人でもないから…っ」
「は…?」
「やっぱり隣歩くのやめる…、外で手繋ぐのも、やめる……っ」
「待て」
本当は私だって周りの目を気にせず歩きたい。
名前だって呼びたい、“土方”になりたい。
それでも自信がなくて不安で。
でも無理してるのは土方さんだったなんて…。