浅葱色の約束。─番外編─
私が反応するよりも先に、ちゅっと軽く響いた。
そして露になったうなじに顔を埋めてくる。
くすぐったくて身じろげば、それこそ腕の力は強まってしまった。
「…お前が可愛くて仕方ねえよ」
耳元で吐息まじりに呟かれて、思わず顔が爆発するくらいに熱くなった。
「いつもの歳三さんじゃないみたい…」
「…昔から、本当は思ってたんだがな」
言葉はあまりくれない人だと思っていたのに。
こんな甘い言葉はレアなものだと思っていたのに。
いつも彼がくれる言葉は嬉しいものだけじゃなくて、辛い試練のようなものもあって、それがこの人だと思っていたけど。
「わ、私も昔から…格好いいなぁって、思ってた…」
「…言えよそれ。そしたらもっと優しくしてやれただろうが」
「ふふっ」
でもそれは彼のほんの一部にしか過ぎないんだって。
男としての、夫としての土方 歳三を私はまだ全然知らなすぎる。
『女になりゃいいのさ。十分に甘えて気持ちを伝えるの』
そんな言葉を思い出した。
この場所には私と土方さんしか居なくて、誰も見てない。
ここは彼と私だけの帰る場所。
一番の安心出来る場所。
これからもこの場所で笑って泣いて怒って、それでも必ずこの人は隣に居てくれる。