浅葱色の約束。─番外編─
───そんなとき。
「う…っ!」
体の中から込み上げてきたサインに思わず腕から逃れ、すぐさま勝手場へ向かった。
「吐き気…?」
確かに最近おかしかった。
体は妙にぽかぽかとするし、微熱のようなものが続いていて。
風邪かなぁなんて思っていた。
もしかして、これって───…。
「どうした?どこか具合悪いのか?」
同じように駆け寄ってきて、ポロポロ涙を流す私を覗き込んでくる。
それがもっともっとこの先の別れを濃くしてしまうみたいで、すがるように抱き付いた。
「労咳かもしれない…っ、どうしよう私死んじゃう…っ!」
「───は…?」
その病気は何よりも近くにあった。
大好きな人が患ったその病は、この時代では治らない死病で。
どんどん痩せてゆく彼を見ていることしか出来なかった。
「最近すごく変だと思ったの…っ」
初期症状として最初、風邪のような微熱が続くと言っていた。
幸いまだ咳は出ていないけど、それもきっと時間の問題。
私はいずれ血を吐く。
そしていつかは彼のように───…