浅葱色の約束。─番外編─




「もう、土方さんのばか…」



土方さんは心配性、それに過保護だ。

そんなに言うんだったら稽古に連れてってくれればいいのに。

それでも、それだけはどうにも許可してくれない。


お洗濯物を干して掃除をして、中庭のお手入れをする。



「お買い物も行かなきゃ」



───そんなとき。

コンコンと、ドアを叩く音。



「誰…?」



普通「すみません」とか「ごめんください」とか。

郵便だったならそういう一言があると思うのだけど……無言だった。


土方さんに言われた通り、これは居留守を決め込むとしよう。



「チッ。居ねえのかよ…使えねえな」



そんな乱暴に吐き捨てる声はどこかで聞いたことがあった。

思わず玄関を少しだけ開けて、声をかけてみる。



「…あの、どうかされたんですか…?」


「あっなんだ!いらしてたんですか!」



その人は私に紅を渡してくれた門下生。

たったいま舌打ちをしていた雰囲気とは一瞬にしてガラッと変わる空気感に、少し恐怖を覚えた。



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