浅葱色の約束。─番外編─
「今日は稽古の日じゃないですか…?お、夫ならもう到着してるかと…」
「…あぁ、今日は用事がありまして。近くまで来たものですから」
玄関を開けてくれ───、まるでそう言うかのような笑顔を向けてくる。
それにしても、どうしてこの家の場所を知っていたのだろう。
少し分かり難い場所にあるのに。
土方さんが教えたのかな…?
でも、この人には私も用があった。
玄関の扉を開けて、目の前に貝殻を差し出す。
「これ…お返しします」
「…気に入りませんでしたか」
「そういうわけじゃないんです。ただやっぱり他の男の人からというのは私も嫌なので…ごめんなさい」
もう1つ言うなら、似合わないと言われたから。
私には似合わない。
シャラン───…。
一瞬、首飾りが揺れたような気がした。
ずっと見守ってくれている彼等が私に「逃げろ」と伝えてくれるみたいに。
「…はぁ、めんどくせえなぁ」
「───っ…!!」
男は乱暴に、私の唇に布を当てる。
意識がだんだん途絶えていった───…。
*