浅葱色の約束。─番外編─
土方side




雨が降りそうだ───。


まだ日中だというのに暗い空を見上げ、今日は早めに切り上げようと決めた。

俺は別に大丈夫だが、家で待つ妻の為だ。



「一雨きそうだなぁ。遠くで雷鳴ってるぞ」


「傘持ってくりゃ良かったぜ」



どうせあいつも傘を持たずに町へ出ているに違いない。


どういう趣味をしてんのか知らねえが、梓は雨の日に傘を差そうとしなかった。

雨に滴るキラキラした木々を見つめ、水溜まりに映る自分を覗いては微笑む。


そんな女が濡れぬよう、何度差してやったことか。



「今日も来なかったな、あいつ」


「最近変だよなぁ。梓さんに貝殻渡したとき以来おかしくないか?」


「俺も思った。なーんか、本当に好きになっちまったんじゃないか」


「うへぇ…俺はさすがに無理だわ。だって土方さんの奥さんだぜ?殺されるって」



副長の勘って奴ぁ、どうやらまだ生きているらしい。

俺は稽古を中断させて家へと走った。


くそ、こんなことになるならあいつも連れて来た方が良かった。



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