浅葱色の約束。─番外編─
パチッ───。
目を覚ましたとき、両手両足は縄で拘束されていた。
「ここは…どこ…?」
キョロキョロと見回してみても、見知らぬ古民家だというくらいしか分からない。
私、確かあのまま気を失って……。
「おや、目が覚めたかい?」
お盆に乗せた湯飲みを運びながら、姿を現した人。
それは間違いなく先程の男だ。
この人が私を縛ったに違いないのに、彼はにこやかに笑っている。
まるで自分の玩具が手に入った子供のように。
頭がまだ少しくらくらする…。
「あなたは…なにか私に恨みでもあるんですか…?」
「恨み?まさか。僕は君を愛しているんだよ」
「……愛している…?」
「もちろん」
そう言って男は私の前に立つと、湯飲みを差し出してくる。
そしてぐいぐいと飲ませようとするのだ。
「や、やめてください…っ」
「こらこら、こぼれてしまうじゃないか」
「やっ…!」
いやいやと首を振った反動で、湯飲みのお茶は私に降りかかった。