浅葱色の約束。─番外編─
幸い温度は熱湯では無くぬるかった為、火傷までにはならなかったものの。
男は途端に形相が変わる。
「なんてことしやがんだ!!こんなにお前のことを愛してるってのに!!!」
「っ…!」
口調も荒くなり、この人の中に人格が2つあるような。
ポタポタとお茶が髪から滴って土方さんからの着物も濡れてしまった。
───愛している。
それは素敵な言葉なはずなのに、この人から感じるものは歪んでしまっている。
「君には僕しか居ないだろ!?なぁそうだと言っておくれよ…!!」
これも、独占欲なの…?
「あぁ…ごめんね、少し荒くし過ぎてしまったね」
外はもう日が暮れ始めている。
雨が降りそうだったけど、いつの間にか雨の匂いは消えていた。
「わ、私…帰らないと…」
土方さん、きっともう帰って来てるから。
また迷惑かけちゃう。
心配かけさせちゃう。
夕飯の支度も、そもそもまだお買い物すら出来ていないのに。