浅葱色の約束。─番外編─
「帰る?馬鹿なことを言わないでくれよ。君は今日から僕のお嫁さんなんだから」
なにを言っているのか理解が出来ない。
どうにか縄を力付くでほどこうとしても、全然びくともしない。
早く逃げなきゃ…。
どんどん暗くなってきちゃう。
ここがどこなのかもわからない。
「もう夫婦だからね。僕は君を幸せにしてあげるし、たくさん愛してあげる」
全然嬉しくない。
幸せも、愛も、私が好きな言葉なのに全然嬉しくない。
むしろこの男から出る言葉はどれも聞く度に体に悪寒が走った。
気持ち悪い───…。
そんなこと知るよしも無い男は、私に近付くと。
「やっ、やめてっ…!」
着物をそわそわと触り始めた。
息も荒く、その目に正常な判断など映っていなかった。
「生娘だろう?」
「触らないで…っ」
「大丈夫、優しくするよ。君の旦那よりずっとずっと僕の方が優しく抱いてあげられる……ヒヒッ」