浅葱色の約束。─番外編─
優しく…?
確かに手つきはゆっくりだ。
触れるか触れないかを繰り返して、それで一々反応をしている。
土方さんはちょっと乱暴だった。
強引にキスするし、手は押さえつけられてしまうし。
噛み付くみたいな、息もさせてくれない。
「いや…っ、やだ…っ!」
それでも全然違う。
この人に触られたくない。
気持ち悪い、怖い。
私は土方さんじゃなきゃ嫌。
あの人じゃなきゃ駄目なの。
「こらこら、暴れると無理矢理しなくちゃならなくなる。それは君も嫌だろう?」
なんとか身動きをして逃れても、男はニヤニヤ笑いながら追ってくる。
帯は乱暴に取られて着物ははだけて、襦袢すらも緩まって、肩が風にふれた。
「土方さん…!土方さん、助けて…っ」
あのときみたいだ───…。
初めて戦の残酷さを目にしたとき。
道連れにされそうになって怖くて死にたくなくて、追ってくる銃に恐怖しか無かった。
自分の命は自分で守らなきゃいけないのに、結局は土方さんの名前を呼んでしまって。