呑みますか、呑みませんか。

 唖然としていたら、こてん、と頭を傾け顔を覗きこまれる。


 タマキさんとお泊まりで北海道?

 え?

 ご実家……に?? は!?


 落ち着けわたし。

 実家に行くなんて言っていないだろう。

 地元、だ。


「まあ。オギノさんオトナなんだし一人で行けるし。そういう友人だっているか」

「ご、ご一緒してくれるなら。ありがたいです。飛行機の乗り方すらままならないので……」

「もしかしてオギノさんて箱入り?」

「え? いや、そんなこと……は」

「それじゃ行こうか。道民だからこそ案内できる店もあるだろうし」


 急激に仲良くなれた。……と、思う。

 仕事中は相変わらず遠いけど。


「こだわりなければ、うちに泊まればいいよ。車出せるし宿代浮くし」


 それは現地でも宅飲みできちゃうってことですか。それも地酒を。

 北海道の広大な地で……!

 なんたる贅沢。


 しかし付き合ってるみたい、だなあ?

 この感じ。


 だけど付き合っているわけでは、ない。


 前回この家に来たとき、ひょっとしたら"ある"かと。


 ……甘い展開が。


 しかし、そんなもの、なかった。


 酔ったタマキさんはいつもとは違うテンションになって、かわいかった。

 ただただ癒された。


 同僚と、まったりした時間を過ごし。

 タマキさんはソファで、わたしはベッドをお借りして眠り。


 翌朝には、この家を出た。早朝に。

 すさまじく健全!


 まあ、あくまで同僚ですから。

 なにかあったらあったで気まずいけどね!?
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