忘れるための時間 始めるための時間 ~すれ違う想い~
苦い過去、過保護の理由
#未来side
# 未来side
久しぶりのあの夢を見てしまい、うなされて目が覚めた。
中学校時代の嫌な思い出の夢だ。
※
中学生になるとあちこちで恋ばなが聞こえてくるようになった。休み時間や放課後には誰が好きで、誰と誰が付き合って、誰が誰に振られた…そんな話を友達同士で語られる。
私はそういったことにはうとい方だし、男の子は苦手であまり話をする方では無かったから、恋ばなになるといつも聞き役だった。
それでも、クラスの中に一人、気さくに話しかけてくれる男の子がいて、密かに思いを寄せるようになった。初恋と呼べるかどうか…という淡い憧れのような、そんな思いだったけど。
その子はとても優しくて、掃除当番を手伝ってくれたり、ゴミを捨てにごみ置き場に向かっているとさりげなく持ってくれたりした。恥ずかしかったがとても嬉しくて少しずつその男の子との距離も近づいて来た気がして嬉しかった。
そんな思いを親友の唯と亜紀にだけはそっと話していた。休み時間や放課後、二人とその話で盛り上がったこともあった。
やがて、そんな私と男の子の様子が噂にのぼることもあり始めていて…
ある日の放課後
「おい、お前後藤の事が好きなん?」
彼の友達がからかうように言っているのを唯と亜紀、私の三人でヒソヒソと恋ばなをして歩いている時、たまたま見かけてしまった。
「ちょっと!しぃ~隠れよ!」
唯に促され、近くの校舎の影に隠れてその男の子達の話に聞き耳を立てた。
「ちょっ、ちょっと!盗み聞きみたいでいけんじゃろぉ~」
ヒソヒソ声で抗議しようとした私の口を亜紀がふさぐ。
「絶対あいつ、みぃの事が好きって言うで」
亜紀がニヤニヤ笑って私を見る。
しかし…
「はぁ?何で?」
あきれたように言う声が聞こえた。
「えっ?」三人で顔を見合せた。
「何で俺があんな地味な女好きにならんといけんのん?アホか!俺が狙っとんのは、あいつと仲良しのナイスボディーの長瀬唯の方じゃけぇ!」
澄まして言う。
「いや、でも、後藤もお前の事かなり本気みたいな感じに見えるって、噂が結構立っとるで。付き合っとる~みたいな噂も。」
「いやいや、マジで勘弁して欲しいわ。あんな女、話しとってもオモロ~無いし、あいつは長瀬唯と仲がええとこ以外使い道無いけぇな。」
吐き捨てるように言う。
「…ひどいなぁお前。」
「そぉ?長瀬唯とお近づきになれるためなら俺は手段を選ばんな!」
そこまでの会話を盗み聞きした後、唯がその男の子に駆け寄り、思い切りビンタをした。
「ふざけんな!このゲス野郎!!」
ぶつけるように怒鳴る。
私は知らず知らずにポロポロと涙を流し、ヘナヘナと座り込む。
「みっ…みぃ!大丈夫?」
亜紀が肩をそっと抱いてくれた。
ビンタされた頬を押さえながらこちらを振り向いたその男の子はペッと私の方に唾を吐き捨て
「盗み聞き?最低な女」
そう言って背中を向けて行ってしまった。
※
これまで何度この夢を見て涙を流し目覚めた事か。
唯は唯のせいではないのに何度も何度も謝ってくれた。
そのうちこの事が噂になり、噂の的になってしまったことで私の引っ込み思案は加速し、男の子に対して苦手意識がさらに高まってしまった。
それからというもの、唯と亜紀の私への過保護すぎるほどの友情が始まったのだ…。
久しぶりのあの夢を見てしまい、うなされて目が覚めた。
中学校時代の嫌な思い出の夢だ。
※
中学生になるとあちこちで恋ばなが聞こえてくるようになった。休み時間や放課後には誰が好きで、誰と誰が付き合って、誰が誰に振られた…そんな話を友達同士で語られる。
私はそういったことにはうとい方だし、男の子は苦手であまり話をする方では無かったから、恋ばなになるといつも聞き役だった。
それでも、クラスの中に一人、気さくに話しかけてくれる男の子がいて、密かに思いを寄せるようになった。初恋と呼べるかどうか…という淡い憧れのような、そんな思いだったけど。
その子はとても優しくて、掃除当番を手伝ってくれたり、ゴミを捨てにごみ置き場に向かっているとさりげなく持ってくれたりした。恥ずかしかったがとても嬉しくて少しずつその男の子との距離も近づいて来た気がして嬉しかった。
そんな思いを親友の唯と亜紀にだけはそっと話していた。休み時間や放課後、二人とその話で盛り上がったこともあった。
やがて、そんな私と男の子の様子が噂にのぼることもあり始めていて…
ある日の放課後
「おい、お前後藤の事が好きなん?」
彼の友達がからかうように言っているのを唯と亜紀、私の三人でヒソヒソと恋ばなをして歩いている時、たまたま見かけてしまった。
「ちょっと!しぃ~隠れよ!」
唯に促され、近くの校舎の影に隠れてその男の子達の話に聞き耳を立てた。
「ちょっ、ちょっと!盗み聞きみたいでいけんじゃろぉ~」
ヒソヒソ声で抗議しようとした私の口を亜紀がふさぐ。
「絶対あいつ、みぃの事が好きって言うで」
亜紀がニヤニヤ笑って私を見る。
しかし…
「はぁ?何で?」
あきれたように言う声が聞こえた。
「えっ?」三人で顔を見合せた。
「何で俺があんな地味な女好きにならんといけんのん?アホか!俺が狙っとんのは、あいつと仲良しのナイスボディーの長瀬唯の方じゃけぇ!」
澄まして言う。
「いや、でも、後藤もお前の事かなり本気みたいな感じに見えるって、噂が結構立っとるで。付き合っとる~みたいな噂も。」
「いやいや、マジで勘弁して欲しいわ。あんな女、話しとってもオモロ~無いし、あいつは長瀬唯と仲がええとこ以外使い道無いけぇな。」
吐き捨てるように言う。
「…ひどいなぁお前。」
「そぉ?長瀬唯とお近づきになれるためなら俺は手段を選ばんな!」
そこまでの会話を盗み聞きした後、唯がその男の子に駆け寄り、思い切りビンタをした。
「ふざけんな!このゲス野郎!!」
ぶつけるように怒鳴る。
私は知らず知らずにポロポロと涙を流し、ヘナヘナと座り込む。
「みっ…みぃ!大丈夫?」
亜紀が肩をそっと抱いてくれた。
ビンタされた頬を押さえながらこちらを振り向いたその男の子はペッと私の方に唾を吐き捨て
「盗み聞き?最低な女」
そう言って背中を向けて行ってしまった。
※
これまで何度この夢を見て涙を流し目覚めた事か。
唯は唯のせいではないのに何度も何度も謝ってくれた。
そのうちこの事が噂になり、噂の的になってしまったことで私の引っ込み思案は加速し、男の子に対して苦手意識がさらに高まってしまった。
それからというもの、唯と亜紀の私への過保護すぎるほどの友情が始まったのだ…。