忘れるための時間 始めるための時間 ~すれ違う想い~
# 光side
# 光side
未来ちゃん…
達也くん…
いつの間に二人はそんなに仲良くなったのだろう。そう言う自分も女の子の友達を下の名前で呼ぶことなんてあるし、自分も女の子に下の名前で呼ばれることだってある。実際唯のことは同じクラスになってすぐに打ち解け、お互い下の名前で呼び捨てている。
だけど…後藤さんはそんなんじゃない。
気軽に下の名前で呼ばれるような感じじゃぁないし、男の子のことを下の名前で呼ぶ姿なんて想像できなかった。
今まで俺だって、もっと親しく「未来ちゃん」とか「みぃー」とか呼んでみたいと思わなくも無かったが、その勇気は出なかった。
「…つっ。そんなんじゃないじゃろ」
何が悔しいのか何に腹が立っているのかわからないがとにかく胸がモヤモヤしている自分にいらだつ。
そんなモヤモヤした気持ちだったからか、後藤さんを不自然にさけるような事をしてしまった。
振り向いて見た時の彼女の辛そうな、戸惑ったような表情が目に焼き付いてしまった。
あんな顔をさせてしまったのは自分なのか…そんな事を考えてしまうなんて自意識過剰だろう。俺なんか、後藤さんにとって何でも無い存在だ。
「おはよう、光!」
元気な声で声をかけられ、同時に背中をバシッと叩かれる。
「痛ってぇ~唯か。おはよう」
いつの間にか教室の自分の席に座りボーッとしていたのだ。
「何ボーッとしとん。」クスクスと笑いながら唯が斜め後ろの席に座る。
「いゃ、別に…」
うまくごまかせずとりあえず別に…と答えた。達也と後藤さんが仲良くしている姿を見て戸惑ってしまったとは言えない…間違っても。
「あっ、そうそう。みぃ、今日から学校来たみたいなよ~」
1時間目の教科書を出しながら思い付いたように言う唯。唯に自分の気持ちを悟られないようにと少し緊張する。
「あっ、ああ、さっき会ったけん。校門で。」
「え?そうなん?元気そうだったじゃろ」
「あぁ、うん。達也と一緒に歩いとるのに会って…」と、そこまで話したところで教室の扉が勢いよく開いた。
「グッドモーニング!いゃあ、ええ朝じゃなぁ!!」
達也がご機嫌にはしゃぎながら入ってきた。
「どしたん?なんかええことあった?」
唯があきれぎみに話しかける。
「聞きたい?聞きたいじゃろ?」
顔を近づけてニヤニヤ言うから唯がキレぎみに
「あー!もぉウザイ!」
手で達也の顔を押し退ける。
「いゃ、俺な、今日から未来ちゃんって呼ぶことにしたしな!それにな、未来ちゃんが…俺の事を~達也くんって呼んでくれるようになったんよ!」
満面の笑みで答える。後藤さんの照れ笑いの顔を思い浮かべていることは容易に想像できる。
「はぁ?何?何?急展開!」
唯はさっきは両手で押し退けた達也の顔に近づき問い詰める。
「…いや、未来ちゃんって呼んでもええって許可もらっただけじゃし」
達也の声が小さくなる。
「はぁ?そんだけ?そんだけであんなハイテンションになるん?」呆れぎみに唯が言う。
「マジで後藤さんの事が好きなんじゃなぁ…達也は」
考える前に言葉が口をついて出てしまった。
「マジで、なんよな?」唯が念を押す。
達也は急に真面目な顔になり「おん。」と答える。「それでな、前から気になっとったんじゃけど、唯が未来ちゃんに過保護すぎなくらい過保護な理由、教えて欲しい。」
(…!それは俺も知りたい!)心の中で同意した。
「あーそれな。ちょっと言いにくいけん、お昼休みでもええ?達也や光には知ってもらっておいた方がええけぇ」唯の表情が少し暗くなった。
未来ちゃん…
達也くん…
いつの間に二人はそんなに仲良くなったのだろう。そう言う自分も女の子の友達を下の名前で呼ぶことなんてあるし、自分も女の子に下の名前で呼ばれることだってある。実際唯のことは同じクラスになってすぐに打ち解け、お互い下の名前で呼び捨てている。
だけど…後藤さんはそんなんじゃない。
気軽に下の名前で呼ばれるような感じじゃぁないし、男の子のことを下の名前で呼ぶ姿なんて想像できなかった。
今まで俺だって、もっと親しく「未来ちゃん」とか「みぃー」とか呼んでみたいと思わなくも無かったが、その勇気は出なかった。
「…つっ。そんなんじゃないじゃろ」
何が悔しいのか何に腹が立っているのかわからないがとにかく胸がモヤモヤしている自分にいらだつ。
そんなモヤモヤした気持ちだったからか、後藤さんを不自然にさけるような事をしてしまった。
振り向いて見た時の彼女の辛そうな、戸惑ったような表情が目に焼き付いてしまった。
あんな顔をさせてしまったのは自分なのか…そんな事を考えてしまうなんて自意識過剰だろう。俺なんか、後藤さんにとって何でも無い存在だ。
「おはよう、光!」
元気な声で声をかけられ、同時に背中をバシッと叩かれる。
「痛ってぇ~唯か。おはよう」
いつの間にか教室の自分の席に座りボーッとしていたのだ。
「何ボーッとしとん。」クスクスと笑いながら唯が斜め後ろの席に座る。
「いゃ、別に…」
うまくごまかせずとりあえず別に…と答えた。達也と後藤さんが仲良くしている姿を見て戸惑ってしまったとは言えない…間違っても。
「あっ、そうそう。みぃ、今日から学校来たみたいなよ~」
1時間目の教科書を出しながら思い付いたように言う唯。唯に自分の気持ちを悟られないようにと少し緊張する。
「あっ、ああ、さっき会ったけん。校門で。」
「え?そうなん?元気そうだったじゃろ」
「あぁ、うん。達也と一緒に歩いとるのに会って…」と、そこまで話したところで教室の扉が勢いよく開いた。
「グッドモーニング!いゃあ、ええ朝じゃなぁ!!」
達也がご機嫌にはしゃぎながら入ってきた。
「どしたん?なんかええことあった?」
唯があきれぎみに話しかける。
「聞きたい?聞きたいじゃろ?」
顔を近づけてニヤニヤ言うから唯がキレぎみに
「あー!もぉウザイ!」
手で達也の顔を押し退ける。
「いゃ、俺な、今日から未来ちゃんって呼ぶことにしたしな!それにな、未来ちゃんが…俺の事を~達也くんって呼んでくれるようになったんよ!」
満面の笑みで答える。後藤さんの照れ笑いの顔を思い浮かべていることは容易に想像できる。
「はぁ?何?何?急展開!」
唯はさっきは両手で押し退けた達也の顔に近づき問い詰める。
「…いや、未来ちゃんって呼んでもええって許可もらっただけじゃし」
達也の声が小さくなる。
「はぁ?そんだけ?そんだけであんなハイテンションになるん?」呆れぎみに唯が言う。
「マジで後藤さんの事が好きなんじゃなぁ…達也は」
考える前に言葉が口をついて出てしまった。
「マジで、なんよな?」唯が念を押す。
達也は急に真面目な顔になり「おん。」と答える。「それでな、前から気になっとったんじゃけど、唯が未来ちゃんに過保護すぎなくらい過保護な理由、教えて欲しい。」
(…!それは俺も知りたい!)心の中で同意した。
「あーそれな。ちょっと言いにくいけん、お昼休みでもええ?達也や光には知ってもらっておいた方がええけぇ」唯の表情が少し暗くなった。