忘れるための時間 始めるための時間 ~すれ違う想い~
# 光side
# 光side
「ガトーショコラ、お前何個あった?」
一時間目が終わるとすぐに後藤さんからもらったバレンタインのプレゼントを開けて食べ始めた達也は自分と俺とのプレゼントの違いを気にしていた。どちらが特別か…と。
「え?俺のは…5個。」
(大切過ぎて今すぐ食べるのはもったいない気がする…。)そう思いながらじっとガトーショコラを眺めていた。
「えー俺も5個。なんじゃあ、一緒か。まぁ、未来ちゃんは誰にでも公平じゃからな」
変に納得しているところが達也らしいと思った。
「唯!」
後ろ側の扉が開いて唯を呼ぶ声がした。後藤さんだ。俺が立ち上がろうとした時にはもう達也が後藤さんのところに駆けつけていた。
「これ!ホンマまじで美味しい!未来ちゃんが作ってくれたん?」
口をモゴモゴさせながらほめちぎる達也を見て後藤さんはこぼれそうな笑顔を見せた。
その笑顔にドキッとした。
いつもは髪の毛で隠れた控えめな笑顔だが、今日は髪型のせいでよく見える。とても可愛いと思った。
後藤さんの笑顔は達也に向けられていると思うと少し胸が痛んだ。
「みぃ~おはよ!」
「あっ、唯、これバレンタイン。ガトーショコラ作ったよ」
「ありがとう!みぃのガトーショコラは絶品じゃから、超嬉しい!」
唯がプレゼントを受け取るとすかさず「何個入り?」と達也がチェックを入れた。
「はぁ?何で?」唯が怪訝そうな顔で返事をする。
「5個入りよ。」
後藤さんが優しく答える。
「かぁー!同じかぁ」
うなだれる達也に「沢山食べたかったん?」と優しく声をかける後藤さん。
「うん!俺だけ特別が良かった。」
「フフフッ じゃあ、また今度作ってくるね」
「マジで?!やったぁ!!」
「フフフッ」
口元に小さくて華奢な手をやり可笑しそうに笑う。その屈託のない笑顔から目が離せない。
楽しそうな二人のやり取りを見ていると胸に石がつっかえたように重くなる。
ふと後藤さんと目が合った。
心臓が飛び出しそうになる。
不自然にならないように気を付けながら笑顔を作り俺も後藤さんの方に近づいた。
「ありがとう。まだ食べてないけど、家に帰ってからゆっくり頂くわな。」
「…うん。美味しいと思ってくれたらえんじゃけど…。」
後藤さんは目線を俺の足先に落としてそう言ってから、少し顔を上げてフッと笑顔を見せた。
「美味しいに決まっとる!今まで食べた後藤さんの作ったもんは全部美味しかったもん。」
「ホント?嬉しい。」
顔を明らめ両手で頬をおおう、その仕草にまた胸が高鳴った。
とても可愛いと思った。
もう自分に嘘がつけないほど自分の気持ちがはっきりしている。
俺は後藤さんが好きだ。
…誰にも言えないけれど…。
「ガトーショコラ、お前何個あった?」
一時間目が終わるとすぐに後藤さんからもらったバレンタインのプレゼントを開けて食べ始めた達也は自分と俺とのプレゼントの違いを気にしていた。どちらが特別か…と。
「え?俺のは…5個。」
(大切過ぎて今すぐ食べるのはもったいない気がする…。)そう思いながらじっとガトーショコラを眺めていた。
「えー俺も5個。なんじゃあ、一緒か。まぁ、未来ちゃんは誰にでも公平じゃからな」
変に納得しているところが達也らしいと思った。
「唯!」
後ろ側の扉が開いて唯を呼ぶ声がした。後藤さんだ。俺が立ち上がろうとした時にはもう達也が後藤さんのところに駆けつけていた。
「これ!ホンマまじで美味しい!未来ちゃんが作ってくれたん?」
口をモゴモゴさせながらほめちぎる達也を見て後藤さんはこぼれそうな笑顔を見せた。
その笑顔にドキッとした。
いつもは髪の毛で隠れた控えめな笑顔だが、今日は髪型のせいでよく見える。とても可愛いと思った。
後藤さんの笑顔は達也に向けられていると思うと少し胸が痛んだ。
「みぃ~おはよ!」
「あっ、唯、これバレンタイン。ガトーショコラ作ったよ」
「ありがとう!みぃのガトーショコラは絶品じゃから、超嬉しい!」
唯がプレゼントを受け取るとすかさず「何個入り?」と達也がチェックを入れた。
「はぁ?何で?」唯が怪訝そうな顔で返事をする。
「5個入りよ。」
後藤さんが優しく答える。
「かぁー!同じかぁ」
うなだれる達也に「沢山食べたかったん?」と優しく声をかける後藤さん。
「うん!俺だけ特別が良かった。」
「フフフッ じゃあ、また今度作ってくるね」
「マジで?!やったぁ!!」
「フフフッ」
口元に小さくて華奢な手をやり可笑しそうに笑う。その屈託のない笑顔から目が離せない。
楽しそうな二人のやり取りを見ていると胸に石がつっかえたように重くなる。
ふと後藤さんと目が合った。
心臓が飛び出しそうになる。
不自然にならないように気を付けながら笑顔を作り俺も後藤さんの方に近づいた。
「ありがとう。まだ食べてないけど、家に帰ってからゆっくり頂くわな。」
「…うん。美味しいと思ってくれたらえんじゃけど…。」
後藤さんは目線を俺の足先に落としてそう言ってから、少し顔を上げてフッと笑顔を見せた。
「美味しいに決まっとる!今まで食べた後藤さんの作ったもんは全部美味しかったもん。」
「ホント?嬉しい。」
顔を明らめ両手で頬をおおう、その仕草にまた胸が高鳴った。
とても可愛いと思った。
もう自分に嘘がつけないほど自分の気持ちがはっきりしている。
俺は後藤さんが好きだ。
…誰にも言えないけれど…。