忘れるための時間 始めるための時間 ~すれ違う想い~
# 未来side
# 未来side
「前売り券、チケットに換えてくるな。後藤さんここで待っといてくれる?俺行ってくる。座っとって。」
ロビーのソファーに座るよう促され、素直に座って待つことにした。
チケット発券の列に並んでいる永井くんは背が高いからどこに居るか良くわかる。
(40センチも違うんじゃもんなぁ…)
そんなことを考えながら永井くんの背中を見つめていた。
ここまで来るだけでも心臓が爆発するかと思うほどだった。
エスカレーターで一段下に立ってくれたのは目線を合わせるためだったのかな?電車まで手を繋いで引っ張ってくれたり、電車でふらつく私を助けてくれもした。まだ今日会ってからたった1時間ほどしかたってないのに永井くんの優しさに胸のときめきが止まらない。
「ねぇねぇ、今一人?」
聞き覚えの無い声が聞こえたが、まさか自分に向けられているとは思わずうつむいたままでいると肩をポンと叩かれ驚いて顔を上げた。
そこには二人の知らない中学生か高校生くらいの男の子が前をふさぐように立っていた。
「一人で暇なら一緒に遊ばん?」
背の低い方の男の子が馴れ馴れしくそう話しかけてきた。
「え?いゃ、うち…」
「俺ら暇なんよ~じゃけえ行こ行こ!」
背の高い方の男の子が戸惑っている私の腕を引いて立たせようとしながらそう言う。
いきなり腕をつかまれてしまい怖くなる。
力も強く振りほどけない。
「うち、一緒に来とる人がおるから…」
小さ声でやっと断る。
「え?一緒に来とるって、女の子?」
ニヤニヤして背の低い方の男の子が顔を近づける。
変に馴れ馴れしいところも、急につかまれた腕も、近づけられた顔も怖くて不快だった。
体が震えるのがわかった。
「さっ、行こ!」
つかんだ腕をぐいっと引っ張られた時だった。
「何しょんなら!」
永井くんがその男の子の手をパシッと振り払うようにして引き離し、かばうように間に立ってくれた。
「何なら、男連れか~」
残念そうに背の低い方の男の子がボソッと言う。
「恐がっとろぉが!やめぇ!」
まだ近くに立っていたその男の子を睨み付け怒鳴る。
こんな永井くん、初めて見た。
チッ と舌打ちをして二人の男の子達はぶつぶつ何か言いながらまた他の女の子を物色するように去っていった。
「ごめん!後藤さん、ホンマにごめん!一人にしとったけん怖い思いさせてしもぉた。大丈夫だった?」
捕まれた腕の辺りを撫でながら心配そうにそう言ってくれた。
永井くんの顔を見たらホッとして震えも止まった。
「大丈夫。大丈夫。」やっと作った笑顔で答える。
それでもまだ心配そうな顔で眉をひそめ、ため息をつく永井くん。
「いや、やっぱ一緒に行くべきだった。飲み物は一緒に買いに行こう!な、ええ?」
「フフッ。」
その言い方がとても過保護な感じがして思わず笑ってしまった。
「え?何?何で笑うん?」
「いや、フフッ、心配しすぎ。うち、これでも高校生じゃし。あんなの初めてじゃったけど、もうあんなこと無いと思うし。」
私のその言葉を聞いた永井くんが少し不機嫌な表情になったような気がして顔をのぞきこむ。
「後藤さんはわかってない。可愛い子が一人でおったら悪い奴らは見逃さんわ!」
「いゃ、え?ごめんなさい。うち、可愛くなんかないけぇ、子どもっぽいし…それにさっき声かけて来た男の子のも中学生っぽかったよね。」
「やっぱわかってない!中学生じゃろうが何じゃろうが危ないもんは危ないんじゃ。一人にした俺が悪かった。こんな時…こんな時達也だったらもっとうもぉやるんじゃろうな…。」
怒ったように、すねたように言う。
「…永井くんと言い合いみたいになったの、初めてかも。永井くんが怒ったとこも初めて見た。」
達也くんの事を言われて少し気まずくなったが、あえて明るい声でそう言ってみる。
「え?いゃ、まぁ…でも…」
予想外の言葉だったのか永井くんは照れたようにモゴモゴと何か言うが良く聞こえない。
「え?何?」
笑顔でのぞきこむと永井くんは顔を反らして
「でも、かっ、可愛いのは嘘じゃないけぇ。ホンマ気をつけて!っていうか、今日は俺が気をつける。」
早口で言う。
顔が赤くなるのを感じた。『可愛い』って言ってくれるのは今日何回目かなぁ…嬉しい!
「さっ、飲み物買って入ろうか」
背中に手を回してそっとエスコートしてくれた。
背中が熱い。
(今日は映画の内容が頭に入らんかもしれん)
「前売り券、チケットに換えてくるな。後藤さんここで待っといてくれる?俺行ってくる。座っとって。」
ロビーのソファーに座るよう促され、素直に座って待つことにした。
チケット発券の列に並んでいる永井くんは背が高いからどこに居るか良くわかる。
(40センチも違うんじゃもんなぁ…)
そんなことを考えながら永井くんの背中を見つめていた。
ここまで来るだけでも心臓が爆発するかと思うほどだった。
エスカレーターで一段下に立ってくれたのは目線を合わせるためだったのかな?電車まで手を繋いで引っ張ってくれたり、電車でふらつく私を助けてくれもした。まだ今日会ってからたった1時間ほどしかたってないのに永井くんの優しさに胸のときめきが止まらない。
「ねぇねぇ、今一人?」
聞き覚えの無い声が聞こえたが、まさか自分に向けられているとは思わずうつむいたままでいると肩をポンと叩かれ驚いて顔を上げた。
そこには二人の知らない中学生か高校生くらいの男の子が前をふさぐように立っていた。
「一人で暇なら一緒に遊ばん?」
背の低い方の男の子が馴れ馴れしくそう話しかけてきた。
「え?いゃ、うち…」
「俺ら暇なんよ~じゃけえ行こ行こ!」
背の高い方の男の子が戸惑っている私の腕を引いて立たせようとしながらそう言う。
いきなり腕をつかまれてしまい怖くなる。
力も強く振りほどけない。
「うち、一緒に来とる人がおるから…」
小さ声でやっと断る。
「え?一緒に来とるって、女の子?」
ニヤニヤして背の低い方の男の子が顔を近づける。
変に馴れ馴れしいところも、急につかまれた腕も、近づけられた顔も怖くて不快だった。
体が震えるのがわかった。
「さっ、行こ!」
つかんだ腕をぐいっと引っ張られた時だった。
「何しょんなら!」
永井くんがその男の子の手をパシッと振り払うようにして引き離し、かばうように間に立ってくれた。
「何なら、男連れか~」
残念そうに背の低い方の男の子がボソッと言う。
「恐がっとろぉが!やめぇ!」
まだ近くに立っていたその男の子を睨み付け怒鳴る。
こんな永井くん、初めて見た。
チッ と舌打ちをして二人の男の子達はぶつぶつ何か言いながらまた他の女の子を物色するように去っていった。
「ごめん!後藤さん、ホンマにごめん!一人にしとったけん怖い思いさせてしもぉた。大丈夫だった?」
捕まれた腕の辺りを撫でながら心配そうにそう言ってくれた。
永井くんの顔を見たらホッとして震えも止まった。
「大丈夫。大丈夫。」やっと作った笑顔で答える。
それでもまだ心配そうな顔で眉をひそめ、ため息をつく永井くん。
「いや、やっぱ一緒に行くべきだった。飲み物は一緒に買いに行こう!な、ええ?」
「フフッ。」
その言い方がとても過保護な感じがして思わず笑ってしまった。
「え?何?何で笑うん?」
「いや、フフッ、心配しすぎ。うち、これでも高校生じゃし。あんなの初めてじゃったけど、もうあんなこと無いと思うし。」
私のその言葉を聞いた永井くんが少し不機嫌な表情になったような気がして顔をのぞきこむ。
「後藤さんはわかってない。可愛い子が一人でおったら悪い奴らは見逃さんわ!」
「いゃ、え?ごめんなさい。うち、可愛くなんかないけぇ、子どもっぽいし…それにさっき声かけて来た男の子のも中学生っぽかったよね。」
「やっぱわかってない!中学生じゃろうが何じゃろうが危ないもんは危ないんじゃ。一人にした俺が悪かった。こんな時…こんな時達也だったらもっとうもぉやるんじゃろうな…。」
怒ったように、すねたように言う。
「…永井くんと言い合いみたいになったの、初めてかも。永井くんが怒ったとこも初めて見た。」
達也くんの事を言われて少し気まずくなったが、あえて明るい声でそう言ってみる。
「え?いゃ、まぁ…でも…」
予想外の言葉だったのか永井くんは照れたようにモゴモゴと何か言うが良く聞こえない。
「え?何?」
笑顔でのぞきこむと永井くんは顔を反らして
「でも、かっ、可愛いのは嘘じゃないけぇ。ホンマ気をつけて!っていうか、今日は俺が気をつける。」
早口で言う。
顔が赤くなるのを感じた。『可愛い』って言ってくれるのは今日何回目かなぁ…嬉しい!
「さっ、飲み物買って入ろうか」
背中に手を回してそっとエスコートしてくれた。
背中が熱い。
(今日は映画の内容が頭に入らんかもしれん)