忘れるための時間     始めるための時間     ~すれ違う想い~

# 光side

# 光side

映画のあとショッピングセンターを歩きながら映画の感想について話をした。
いつもより会話が弾み、後藤さんも少しリラックスしてくれているように感じた。俺に向けられる自然な笑顔が胸に突き刺さる。


「みらい…。」

達也も唯も本岡もいない今日、俺がこの笑顔を一人占めしている。そう思うと気持ちが高まり思わず名前を呼んでいた。本当は呼びたいその名前を。

案の定、後藤さんはとても驚き戸惑ったような表情になってしまった。自分の唐突さに嫌気が差したし、この楽しい雰囲気を壊したくなくて名前の由来をたずねてごまかした。

後藤さんはホッとしたように名前の由来について話してくれ、雰囲気を壊さずにすんだ。


今日、二人で過ごしてみて、後藤さんの柔らかい雰囲気も映画に感動する姿も、可愛い笑顔も全部、やっぱり好きだと思った。

このまま二人でいれたらいいのに。

そんな風に思いながら肩を並べて歩いた。
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