忘れるための時間 始めるための時間 ~すれ違う想い~
クラス替え ~高校時代~
短い春休みが終わり、いよいよ二年生。
クラス替えの発表を見るのが怖くて足がすくむ。
もし、亜紀と同じクラスじゃあ無かったら…
唯と同じクラスになったら…
一年生の時とわずかに違う不安。
唯と同じクラスになりたくないと思ってしまう自分の本音が嫌になる。
少し永井くんと同じクラスになる事を期待していた。もし…もし同じクラスになれたら と胸がドキドキしていた。
「わぁ~また同じクラス!」とか「キャー彼と離れてしもぉた」とか、掲示板の前で賑やかな声が聞こえる。
その声を遠くに聞きながら掲示板まであと少しの所で立ち止まってしまっていた。
「ふぅ…」
ため息が出る。
うつむいて自分の足を見つめていると肩をポンと叩かれた。
「朝からため息?」
横に立って話しかけてくれたのは永井くんだった。
「あ、おはよう。」
顔が赤らむのがわかる。二人でお出かけして少し距離が縮まったはずなのにしばらく会わずにいるとこうなってしまうなんて…自分で自分が嫌になる。
「掲示板見える?」
永井くんが掲示板の前の人垣をよけて見るように左右に体を揺らす。
「ううん。その、見る勇気が無くて…。」
ボソボソと呟く。
「ははっ!後藤さんらしいなぁ。そんなに不安?」
明るい太陽のように笑いながら真っ直ぐに私を見つめてくれる永井くんが何とも眩しくて私はまたうつむいてしまう。
「よし!俺が見ちゃるけん。一緒に行こう」
そう言って永井くんが背中を押してくれた。
「えっあっ…うん」
(もぉ 永井くんが一緒なんて余計に緊張するんだけど)そう思いながら並んで歩く。
「おっ!」
「え?何?どうだった?」
不安で思わす永井くんの制服のブレザーの裾をつかんでしまう。
「後藤さんは4組。唯と達也と一緒じゃ!良かったなぁ。唯と一緒で!達也もおるし。」
明るい声でそう言われて、胸がぎゅっと締め付けられる。
「俺は…と、おっ、隣じゃ。俺は5組。おー本岡がおるわ。」
何だか嬉しそうに話す永井くんの声を聞きながら、同じクラスになれなくて残念だと思っているのは自分だけなんだと思い辛くなる。
つかんでいたブレザーの裾をまたぎゅっと強く握りしめてしまった。
「フッ。新しいクラスは心配じゃよな。でも達也もおるし、唯もおるし、大丈夫じゃ。」
私が不安を感じているのを察してくれたようでそう励ましてくれた。
…でも、永井くんの口から唯の名前が出ると胸が痛くて出そうになる涙をこらえるのに必死になる。
その表情をみて新しいクラスになることが不安なのだと思っている永井くんはそっと私の頭に手をやりポンポンとなだめるように軽く叩く。
頭をポンポンされ思わす永井くんを見上げる。
「それに、隣のクラスにおるしな~本岡も…」
「…うん。」
「…俺も!」
『俺も』と言ってくれた意外な一言にドキッとした。
「うん。」
顔が赤らむのを感じながら精一杯の笑顔で永井くんを見上げた。
永井くんを見上げているといきなり抱きつかれ、驚いてつかんでいた永井くんのブレザーの裾をパッと放した。
「みぃ~今年は同じクラスになれたぁ!!」
唯が満面の笑みで抱きつきながらそう言ってくれた。
嫌だな…なんて少し思ってしまった自分を恥じる。唯はこんなにも自然に喜んでくれているのに。
「うん、ほんまに良かった。亜紀とは離れてしもぉたけど…」
「俺も一緒じゃしな!」
私の言葉に食いぎみに割って入ったのが達也くんだとわかり、少しホッとする。
「達也くん!ほんまに良かったって思うよ。よろしくお願いします。」
「何あらたまって~いや、光栄です!」
そう言うが早いか達也くんは私の手を両手で包み込んでブンブンと振る。
達也くんが一緒で、本当に良かったとホッとした。
「さっ、行こう!我らが4組へ」
達也くんがおどけたように言い、私は達也くんと並んで歩き始めた。
永井くんと二人の時間が終わってしまったことに少し残念な気もしたが、唯と目を合わせるのが怖くて達也くんの存在に甘えようと思った。
ふと振り返ると永井くんと唯が並んで歩いていた。
胸がチクリと痛む。
…お似合いだ。
クラス替えの発表を見るのが怖くて足がすくむ。
もし、亜紀と同じクラスじゃあ無かったら…
唯と同じクラスになったら…
一年生の時とわずかに違う不安。
唯と同じクラスになりたくないと思ってしまう自分の本音が嫌になる。
少し永井くんと同じクラスになる事を期待していた。もし…もし同じクラスになれたら と胸がドキドキしていた。
「わぁ~また同じクラス!」とか「キャー彼と離れてしもぉた」とか、掲示板の前で賑やかな声が聞こえる。
その声を遠くに聞きながら掲示板まであと少しの所で立ち止まってしまっていた。
「ふぅ…」
ため息が出る。
うつむいて自分の足を見つめていると肩をポンと叩かれた。
「朝からため息?」
横に立って話しかけてくれたのは永井くんだった。
「あ、おはよう。」
顔が赤らむのがわかる。二人でお出かけして少し距離が縮まったはずなのにしばらく会わずにいるとこうなってしまうなんて…自分で自分が嫌になる。
「掲示板見える?」
永井くんが掲示板の前の人垣をよけて見るように左右に体を揺らす。
「ううん。その、見る勇気が無くて…。」
ボソボソと呟く。
「ははっ!後藤さんらしいなぁ。そんなに不安?」
明るい太陽のように笑いながら真っ直ぐに私を見つめてくれる永井くんが何とも眩しくて私はまたうつむいてしまう。
「よし!俺が見ちゃるけん。一緒に行こう」
そう言って永井くんが背中を押してくれた。
「えっあっ…うん」
(もぉ 永井くんが一緒なんて余計に緊張するんだけど)そう思いながら並んで歩く。
「おっ!」
「え?何?どうだった?」
不安で思わす永井くんの制服のブレザーの裾をつかんでしまう。
「後藤さんは4組。唯と達也と一緒じゃ!良かったなぁ。唯と一緒で!達也もおるし。」
明るい声でそう言われて、胸がぎゅっと締め付けられる。
「俺は…と、おっ、隣じゃ。俺は5組。おー本岡がおるわ。」
何だか嬉しそうに話す永井くんの声を聞きながら、同じクラスになれなくて残念だと思っているのは自分だけなんだと思い辛くなる。
つかんでいたブレザーの裾をまたぎゅっと強く握りしめてしまった。
「フッ。新しいクラスは心配じゃよな。でも達也もおるし、唯もおるし、大丈夫じゃ。」
私が不安を感じているのを察してくれたようでそう励ましてくれた。
…でも、永井くんの口から唯の名前が出ると胸が痛くて出そうになる涙をこらえるのに必死になる。
その表情をみて新しいクラスになることが不安なのだと思っている永井くんはそっと私の頭に手をやりポンポンとなだめるように軽く叩く。
頭をポンポンされ思わす永井くんを見上げる。
「それに、隣のクラスにおるしな~本岡も…」
「…うん。」
「…俺も!」
『俺も』と言ってくれた意外な一言にドキッとした。
「うん。」
顔が赤らむのを感じながら精一杯の笑顔で永井くんを見上げた。
永井くんを見上げているといきなり抱きつかれ、驚いてつかんでいた永井くんのブレザーの裾をパッと放した。
「みぃ~今年は同じクラスになれたぁ!!」
唯が満面の笑みで抱きつきながらそう言ってくれた。
嫌だな…なんて少し思ってしまった自分を恥じる。唯はこんなにも自然に喜んでくれているのに。
「うん、ほんまに良かった。亜紀とは離れてしもぉたけど…」
「俺も一緒じゃしな!」
私の言葉に食いぎみに割って入ったのが達也くんだとわかり、少しホッとする。
「達也くん!ほんまに良かったって思うよ。よろしくお願いします。」
「何あらたまって~いや、光栄です!」
そう言うが早いか達也くんは私の手を両手で包み込んでブンブンと振る。
達也くんが一緒で、本当に良かったとホッとした。
「さっ、行こう!我らが4組へ」
達也くんがおどけたように言い、私は達也くんと並んで歩き始めた。
永井くんと二人の時間が終わってしまったことに少し残念な気もしたが、唯と目を合わせるのが怖くて達也くんの存在に甘えようと思った。
ふと振り返ると永井くんと唯が並んで歩いていた。
胸がチクリと痛む。
…お似合いだ。