忘れるための時間 始めるための時間 ~すれ違う想い~
ドンドンと太鼓が鳴り響いて、その響きの振動を体で感じた。プォー…プー…ブラスバンド部の楽器調節の音も聞こえる。本格的な応援の様子から一年生大会の時と違う緊張感を感じた。
残念ながらベンチ入りを逃した選手達は背番号のついていないユニフォームを着て頭にはハチマキ、両手に大きめのメガホンを持ち、応援の準備をしていた。
(永井くんはどこにおるんじゃろぉ…)
ついつい目で探してしまう。
(あっ…!)
胸が躍る。
すぐ見つけられた。
選手が叩く大太鼓の横に立ち、白い手袋をしている永井くんが見えた。カッコいい…
さっきは達也くんのそばにいることがあたりまえで、安心できる場所だと実感したばかりなのに、永井くんの姿をちょっと見ただけで心が揺れてしまう自分が嫌になる。
「光!」
良く通る声で唯が呼び掛ける。
永井くんは振り向いて笑顔で手を上げた。
唯も手を振っている。
(永井くんの目に、うちは写っとるじゃろうか…となりにおるうちが見えとるじゃろうか…) 喉の奥が少し苦い。
『…後攻の青空学園高校はフィールディングを開始して下さい…』
アナウンスが聞こえたと同時に ドンドンドンドンドンドン!! 太鼓が鳴り響いた。
元気良く飛び出してきた選手達の中に達也くんの姿を見つけ、緊張と不安と頑張れの気持ちと…様々な感情が押し寄せて胸がドキドキする。
キビキビとノックを受ける達也くんの表情は遠くて良く見えない。それでも調子は良さそうに見え、少しホッとした。
ノックが終わり、グランドに向かって整列して挨拶が終わるとベンチに入っていく。一瞬達也くんがスタンドを見上げた。多分私がわかったようで笑顔で手を振ってくれた。私も小さく手を振り返した。
その後ベンチに入る瞬間に左手で右肩をそっと押さえる仕草が見え トクンと心臓がひっくり返るような気がした。
嫌な予感は消えない…。
残念ながらベンチ入りを逃した選手達は背番号のついていないユニフォームを着て頭にはハチマキ、両手に大きめのメガホンを持ち、応援の準備をしていた。
(永井くんはどこにおるんじゃろぉ…)
ついつい目で探してしまう。
(あっ…!)
胸が躍る。
すぐ見つけられた。
選手が叩く大太鼓の横に立ち、白い手袋をしている永井くんが見えた。カッコいい…
さっきは達也くんのそばにいることがあたりまえで、安心できる場所だと実感したばかりなのに、永井くんの姿をちょっと見ただけで心が揺れてしまう自分が嫌になる。
「光!」
良く通る声で唯が呼び掛ける。
永井くんは振り向いて笑顔で手を上げた。
唯も手を振っている。
(永井くんの目に、うちは写っとるじゃろうか…となりにおるうちが見えとるじゃろうか…) 喉の奥が少し苦い。
『…後攻の青空学園高校はフィールディングを開始して下さい…』
アナウンスが聞こえたと同時に ドンドンドンドンドンドン!! 太鼓が鳴り響いた。
元気良く飛び出してきた選手達の中に達也くんの姿を見つけ、緊張と不安と頑張れの気持ちと…様々な感情が押し寄せて胸がドキドキする。
キビキビとノックを受ける達也くんの表情は遠くて良く見えない。それでも調子は良さそうに見え、少しホッとした。
ノックが終わり、グランドに向かって整列して挨拶が終わるとベンチに入っていく。一瞬達也くんがスタンドを見上げた。多分私がわかったようで笑顔で手を振ってくれた。私も小さく手を振り返した。
その後ベンチに入る瞬間に左手で右肩をそっと押さえる仕草が見え トクンと心臓がひっくり返るような気がした。
嫌な予感は消えない…。