忘れるための時間     始めるための時間     ~すれ違う想い~

# 光side

# 光side

朝練がない今日はゆっくり登校していた。
新入生達が少し緊張した表情で歩いている。

自分の初登校の日を思い出していた。掲示板の前で後藤さんと初めてあった日を…
踏みつけてしまった小さい足も唯の後ろに隠れるようにして立つ姿も…全部覚えている。

「何か可愛いカップル」
「いいなぁ~カレカノ」

そんな言葉が耳に入る。

ふと前を見ると達也と後藤さんが仲良く歩いている姿が目に入った。

良かった。幸せそうで。
良かった。誰から見てもお似合いで。

…でも、胸がまたチクチク痛む。

良かったはずなのに…。

見ていられなくなり、桜の木の下にあるベンチに座り、少し時間を潰した。

思い出に浸ってしまったから、今日は普通に出来そうにない。おさえきれない気持ちを抱えたまま何でもない顔で二人に話しかけるなんて無理な気がして…両手で顔を覆い天をあおいだ。

「…んで…何で今さら同じクラス…。」
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