忘れるための時間 始めるための時間 ~すれ違う想い~
# 未来side
# 未来side
三年4組の教室の前まで来て扉の近くで立ち話をしていた。名残惜くて達也くんの指先を触る。
達也くんとはクラスが別れてしまった。達也くんは6組。唯と同じクラス。私は4組。亜紀と…永井くんが同じクラスになった。
「まだ慣れん。達也くんがおらんの…」
本当の気持ち。達也くんのいない教室は少し不安だった。どれだけ頼りきっていたのだろうか…我ながら情けない。
「クーッ!もう、未来ちゃん…」
達也くんが顔を赤くしてカバンを握りしめる。「可愛い過ぎて困る。いや、困る。」
そう言ったあと耳元で「そんなこと言われたら今すぐ抱きしめたくなる」と小さな声でささやかれ私も顔が真っ赤になった。
「あーもぉ!バカップル!!」
振り向くと唯と亜紀が立っていた。
「朝からお熱いことで!フフッ」
亜紀がニヤニヤしている。
「なかが良いのはええけど…もぉホームルーム始まるで!」
唯が達也くんの首根っこを捕まえて引きずって行ってしまった。
「未来ちゃ~ん。また休み時間な!イテテテ」教室に入る瞬間に手を振りながら達也くんがそう言ってくれた。
私もうなずきながら笑顔で手を振った。
「順調?」亜紀が肩を組んでそっとたずねてくれた。
「…うん。」
「そっか。良かった。」
亜紀が心配そうな表情から笑顔になる。
「おはよう!」
爽やかなあいさつが聞こえた。
永井くんだ。
胸が小さく跳ねた。
「おぉ!永井、おはよう!」
「…おっ、おはよう 永井くん。」
不自然にうつむいてしまった。長く伸びた髪の毛が表情を隠してくれる。
今、私どんな顔しているのだろう…。
「今日1時間めから日本史、だるいなぁ~」
「マジ!だる~」
軽い会話をしながら亜紀と永井くんが教室の中に入っていった。
私は一歩が踏み出せず立ち止まったままでいた。
「…みぃ?」
亜紀が不思議そうに声をかける。
「あっ、ごめんごめん。うち、ぼーっとしとった。」
あわてて自分の席まで行く。
窓際の一番後ろ。
せめてもの救いは永井くんより席が後ろだったこと。 自分が見られているかも知れないという不安より、自分がこっそり眺められる席が嬉しかった。どうしても目が行ってしまう。永井くんの広い背中をついつい見ていたその時ふっと永井くんが振り返り、目があってしまった。心の準備が出来ていなくて顔が真っ赤になったのがわかったからあわてて目を反らしてしまった。不自然に…。
(嫌な気持ちにさせてしもうたかもしれん)
不安になった。
あんなに憧れていた同じクラスなのに、今はただ整理したはずの気持ちに波風が立ってしまうことに胸がチクチクと痛むばかりだ。
達也くんがここに居ない事が余計に不安にさせる。そうじゃないと…
三年4組の教室の前まで来て扉の近くで立ち話をしていた。名残惜くて達也くんの指先を触る。
達也くんとはクラスが別れてしまった。達也くんは6組。唯と同じクラス。私は4組。亜紀と…永井くんが同じクラスになった。
「まだ慣れん。達也くんがおらんの…」
本当の気持ち。達也くんのいない教室は少し不安だった。どれだけ頼りきっていたのだろうか…我ながら情けない。
「クーッ!もう、未来ちゃん…」
達也くんが顔を赤くしてカバンを握りしめる。「可愛い過ぎて困る。いや、困る。」
そう言ったあと耳元で「そんなこと言われたら今すぐ抱きしめたくなる」と小さな声でささやかれ私も顔が真っ赤になった。
「あーもぉ!バカップル!!」
振り向くと唯と亜紀が立っていた。
「朝からお熱いことで!フフッ」
亜紀がニヤニヤしている。
「なかが良いのはええけど…もぉホームルーム始まるで!」
唯が達也くんの首根っこを捕まえて引きずって行ってしまった。
「未来ちゃ~ん。また休み時間な!イテテテ」教室に入る瞬間に手を振りながら達也くんがそう言ってくれた。
私もうなずきながら笑顔で手を振った。
「順調?」亜紀が肩を組んでそっとたずねてくれた。
「…うん。」
「そっか。良かった。」
亜紀が心配そうな表情から笑顔になる。
「おはよう!」
爽やかなあいさつが聞こえた。
永井くんだ。
胸が小さく跳ねた。
「おぉ!永井、おはよう!」
「…おっ、おはよう 永井くん。」
不自然にうつむいてしまった。長く伸びた髪の毛が表情を隠してくれる。
今、私どんな顔しているのだろう…。
「今日1時間めから日本史、だるいなぁ~」
「マジ!だる~」
軽い会話をしながら亜紀と永井くんが教室の中に入っていった。
私は一歩が踏み出せず立ち止まったままでいた。
「…みぃ?」
亜紀が不思議そうに声をかける。
「あっ、ごめんごめん。うち、ぼーっとしとった。」
あわてて自分の席まで行く。
窓際の一番後ろ。
せめてもの救いは永井くんより席が後ろだったこと。 自分が見られているかも知れないという不安より、自分がこっそり眺められる席が嬉しかった。どうしても目が行ってしまう。永井くんの広い背中をついつい見ていたその時ふっと永井くんが振り返り、目があってしまった。心の準備が出来ていなくて顔が真っ赤になったのがわかったからあわてて目を反らしてしまった。不自然に…。
(嫌な気持ちにさせてしもうたかもしれん)
不安になった。
あんなに憧れていた同じクラスなのに、今はただ整理したはずの気持ちに波風が立ってしまうことに胸がチクチクと痛むばかりだ。
達也くんがここに居ない事が余計に不安にさせる。そうじゃないと…