住みますか、住みませんか。
住みますか、住みませんか。
季節は、冬。
同期の玉置知紘くんとお付き合いを始めて半年が経過した。
「領収書よろしく」
「はい」
入社してから今日までは本当にあっという間で。仕事にも慣れて。素敵な恋も実り。
順調といえば、順調なのだけれど――
「タマキくーん。今夜の予定は?」
「取引先の人との食事」
「え~。うちらともパアッと飲みに行こうよ。先に始めてるから合流しない?」
「そういえば課長が妙に寂しそうにしてたな。君らが声かけたら奢ってくれるかもよ」
「いやいや。課長とは飲まないから」
チヒロくんは、モテる。
あからさまに気のある女子社員から声をかけられているところを何度も見てきた。
わたしの!!!
……と叫びたいが、言えない。
なにせ彼とはナイショで付き合っているから。
社内恋愛はタブーってわけじゃないけれど、仕事は仕事、プライベートはプライベートと割りきりたい。あまり周りに気を使わせたくない。
よって、わざわざ言わなくていいかという結論に至った。お互いに納得している。
それでも、
「ねえねえ」
「んー。ジムも行きたいしなあ」
「ジム? だからカラダ引き締まってるんだ! あたしも通おうかな。どこのジム?」
「ナイショ」
たまに、暴露したくなる瞬間はある。
チヒロくんにベタベタ触らないで欲しいなあ……!
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