住みますか、住みませんか。


「あ……の」


 誕生日プレゼントを選びに来たはずが。


「ん?」


 羽鳥さんに連れてこられたのは、なぜか、バーだった。

 お酒を飲む、あの、バーだ。


 テレビとかでは見たことがあるけれど、生まれて初めて来た。

 お酒を飲める場所といえば、居酒屋しか知らないもん。


 まずは、一杯、嗜んでからということ?


「はやく選びに行かないとお店閉まっちゃいません?」

「まあまあ」


 カウンター席に座るよう促される。


「マスター、この子におすすめのお願い。僕は、いつもの」


 なるほど、常連さんっぽい。羽鳥さんはこんなお洒落なお店で飲んでるんだな。オトナって感じ。

 って、ちがーう!!


「のんびりしていたら。プレゼント選びが……」

「とりあえず闇雲に探すより。話を聞かせてよ」


 ああ、なるほど。


「二十歳の、社会人の女の子が喜びそうなものですよね。うーん」


 無難なものでいくと、お財布とか時計になるのかな。

 だけど本人の趣味もあるしなあ。


 そんなことを考えていると、寡黙なバーテンダーさんが、わたしの前にカクテルグラスを置いてくれた。
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