可愛い、もっと。
お近づき……。
あっ、机を近づけてほしいってことかな。
「うん、大丈夫だよ。
じゃあわたしの机くっつけて━━━━」
机を動かそうとした途端、いきなり後ろの席からガンッとイスを引くような音がした。
びっくりして音のするほうを見てみたら。
「……浅原さ、教科書忘れたの?」
相変わらず笑顔だけど、声のトーンが心なしかいつもより低い……柊羽くん。
「あ、あぁ。忘れたから成海さんに見せてもらおうと思って」
「へぇ、ほんとに忘れたの?」
すると、柊羽くんが急に立ち上がって浅原くんの机にバンッと手をついた。
「まさか、叶音に近づくためにわざと忘れた……なんてふざけたこと言わないよね?」
笑顔は崩れてないけど、柊羽くんの放つオーラと圧がものすごい。