可愛い、もっと。



「い、いや……まさか、俺そんなせこいことするつもりねーし?」



「……ふーん。じゃあ、今からでも隣のクラスとかに借りに行ったらどう?時間あるし」



「ま、まあ、それもいいかもしれねーけど、隣の成海さんに借りるほうが早いし、手間も省けるし?」



「手間……ね。なら、俺の教科書貸してあげるよ」


えっ。
そんなことしたら柊羽くんが授業受けられなくなっちゃうんじゃ。



なんて心配してる間にも、柊羽くんは自分の教科書を浅原くんの机の上に雑にバンッと置いた。



「別にいいでしょ?叶音に近づきたくてわざと忘れたわけじゃあるまいし」


「っ、そ、そうだな。サンキューな」



やっぱり柊羽くんは困ってる人を放っておけないのかなぁって。


こうやってクラスの子が忘れ物しちゃったら、自分のものを貸してあげちゃうなんて優しいなぁと。

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