可愛い、もっと。



俺の隣を歩く叶音はいつもひょこひょこしてる。


たぶん俺と歩幅が違うから合わせようとして必死なんだろうけど。


だから、すぐに意識して叶音の歩幅に合わせるし、道路側とか歩いてたら危ないからぜったい歩道側に避けてあげないと。



12月っていう冬だから、少し大きめのマフラーを巻いてる姿ですら可愛いってどうなの。



「……叶音?」


「なぁに?」


「今日も可愛いね」


「へ……っ?」



毎日うざがられるくらい可愛いって言ってるのに、叶音はいちいち顔を赤くするから。


ほんとにピュアっていうか。
反応がいちいち可愛いから。


どんどん頬のあたりが紅潮して、恥ずかしそうに俺からプイッと目をそらす。



「うぅ……不意打ちはダメだよ……っ!」


「っ、」


いや、それこっちのセリフ。
不意打ちの上目遣いで、そんな真っ赤な顔して言われたら、心臓壊れそうなんだけど。

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