可愛い、もっと。
今わたしの目の前には柊羽くんの大きな背中が見えるだけ。
「……可愛い叶音を他の男の視界に映したくないからね」
「お、お前、
相変わらず叶音ちゃんにゾッコンだな」
「もちろん。叶音に近づく男は抹殺するくらいの気持ちでいるよ」
「いやいや、笑顔で怖いこと言うなよ」
柊羽くんにバレないようにひょこっと顔を出して岸くんを見たら、かなり引いた顔をしてる。
だから、ちょこっと柊羽くんの制服の裾を引っ張ってみたら。
「叶音?どーかした?」
くるっと振り向いた柊羽くんの顔はいつもとまったく変わらないにこにこ笑顔。
「あっ、ううん。なんでもないよ」
わたしも同じように笑顔で返して
それぞれの席に着く。
窓側のいちばん後ろの端の席が柊羽くん。
その前がわたしの席。