可愛い、もっと。



ほんとは隣がよかったんだけど、くじ運が悪かったのか前後になっちゃって。


でも、すごく離れちゃうよりか、前後になれてるだけでもいいことだって思わないと!


ささっと授業の準備をしていたらホームルームが始まって、1時間目の授業は数学。


「ねー、成海さん?」


「えっ、あっ、何か?」


急に隣の席の浅原くんがわたしの机をコンコンと叩いてきた。


「俺さー、数学の教科書忘れちゃったんだよね。よかったら机くっつけて一緒に見せてくれない?」


あっ、なるほど。
忘れちゃったなら仕方ないかな。


浅原くんに目線を向けると、忘れ物をしたのになぜか笑っていて嬉しそうに見える。


気のせい、かな。



「いやー、ごめんね。
でも忘れてラッキーかも。成海さんと喋ってみたいし、お近づきになりたいと思ってたからさ?」

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