虹の彼方へ~運命の赤い糸は1枚の写真~  《シリーズ本編》
無自覚な美女
 一方、無事にお弁当の配達を終えてお店に戻った奈々。

「ただいま戻りました~」

「奈々ちゃん、ゴメンね~急に配達を頼んで」

「大丈夫ですよ!困った時は、お互い様です」

「ありがとう。誰かに絡まれたりはしていない?」

「奥さん。私、子供じゃないですよ!!」

 奥さんは(そう言う意味じゃないんだけど本当に無自覚なんだから)と内心で思っているのである。


 ここは『東都テレビ』から商業施設とは反対に歩いて5分。

 昔ながらの商店街にある『そよかぜ弁当』だ。

 オーナーと奥さんで営む小さな弁当屋は、お昼のパートさんふたりと夜のアルバイトである奈々とオーナー夫婦の大学生の娘さんで回している。

 奈々が働き始めて2年になるのだが、お昼のシフトに入るのも配達に出るのも今日が初めてなのだ。

 そして、そんな偶然が重なり運命の出会いを果たした。

 奈々本人は、全く気づいていない……。

< 12 / 127 >

この作品をシェア

pagetop