虹の彼方へ~運命の赤い糸は1枚の写真~  《シリーズ本編》
 秘書の電話で彼女に会えず機嫌の悪い蓮を、もっと機嫌が悪くなる出来事が待っていた。


 エレベーターで最上階の25階に降りると、社長秘書の田中が待っていた。

「ご案内いたします」

 蓮は後をついて行く。社長室に着くと田中が扉をノックする。

「はい」

「失礼します」

「社長。お疲れ様です」と蓮も入った。

 社長室には、他にも来客が……。

 社長は、蓮を自分の隣の席に促す。対面には、50代の男性と20代の女性。面倒な予感しかしない。

「日比谷くん、こちらはサンライズニュースのスポンサーをして下さっている、日向飲料の日向社長とお嬢さんの日菜子さんだ」

 日菜子は、蓮の大ファンで父親に頼み込みやってきた。目はハートになっていて頬を真っ赤に染め、蓮に見惚れている。

 世間では可愛い容姿と言えるのだろうが、蓮は1ミリも興味がわかない。

 この親子のせいで、彼女との接触チャンスを逃したと思ったら苛立ちしかない。

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