虹の彼方へ~運命の赤い糸は1枚の写真~  《シリーズ本編》
 社会人として、スポンサーの機嫌を損ねる訳にもいかず挨拶する。

「日比谷です。いつもお世話になっております」

「日比谷くん、うちの日菜子が君に夢中でね。ぜひ一度食事でもどうだろうか?」

 何とも面倒な事を言ってくる。


 内心では、(行くわけないだろう!)と思っていても「機会がありましたら」と無難に返すしかない。

「社長、この後打合せがありますので失礼させていただいても?」

「ああ、すまなかったね。日向さん、日比谷はこの後の番組がありますので」

 蓮が席を外そうとした瞬間、日菜子が行動に移した。

「蓮さん、連絡先を教えて下さい!」

 世間知らずのお嬢様が図々しく言ってくる。

 さすがの蓮も呆れを通りこし、少し怒り気味に返す。

「個人的には、お教えできません。失礼します」

 逃げるように退出するのだった。


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