虹の彼方へ~運命の赤い糸は1枚の写真~  《シリーズ本編》
ふと奈々はあることを思い出す。

「柳田さん、このマンションに日比谷って人が住んでなかった?」

もちろん普段は個人情報は答えない柳田だが、奈々はこのマンションのオーナーだ。

「日比谷蓮様で間違いないですか?」

「確かそんな名前だったと思う。ちょっと待って」と名刺を取り出す。

名刺を見た柳田は、
「日比谷様は、E棟40階にお住まいです」

「…。やっぱり」

名刺をもらった時に、何となく見たことのある名前だと思ったのだ。
このマンションでは、住人同士が会うことは滅多にないのだが、奈々は用心しようと思う。
これからは、W棟のエレベーターを使おうと思うのだった。

「何か、気になる事でも?」

「今の所は特に。今後も、私の事はくれぐれも他言無用でお願いしますね」

「畏まりました」







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