虹の彼方へ~運命の赤い糸は1枚の写真~  《シリーズ本編》
柳田との会話を終えた奈々は、早々にW棟から自分の部屋へ帰る。

なぜ、奈々がこんな立派なマンションのオーナーなのか…

それは、7年前。
奈々が、高校の卒業を間近に控えた冬の日。
飲酒運転の車が、センターラインを越え両親の乗る車に突っ込んできた。
一瞬にして、両親は帰らぬ人となってしまった。

飲酒運転の罰則も強化され、しかも大事故だった為、当時はかなり報道された。

奈々は、被害者家族にもかかわらず、報道関係にはかなり追い回され嫌な思いをした。
今でもトラウマになっている…。

奈々は自分が必要以上に取材された理由に気づいていなかったが、親が飲酒運転の事故に巻き込まれ、天涯孤独になった気の毒な美少女に注目が集まっていたのだ。

ただひとりで哀しみに暮れる暇がなかったのだけが、ある意味よかったのかもしれない。

両親は自分達に何かあれば、奈々がひとりになってしまうと、かなり前から親友の柳田夫妻に奈々の事を頼んでいたのだ。

高校卒業後、大学へ行く事が決まっていた。両親は奈々が困ることがないように、お金を残してくれていた。








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