虹の彼方へ～運命の赤い糸は１枚の写真～ 《シリーズ本編》

　紙面を見始めて10分くらいたった頃、コンコンとノックの音が部屋に響いた。

「失礼しま～す」

　コーヒーを持ち入ってきたのは、新入社員の女子アナ里中萌だ。

　文末にハートでもみえそうなしゃべり方に、蓮は内心チッと舌打ちしたがもちろん顔には出さない。

「ありがとう」

　声をかけるが視線は紙面に向いたままだ。

　しゃべりかける隙を与えない蓮に、萌はコーヒー出すとションボリと部屋を出て行くのだった。

　女子アナ達は、毎朝誰が蓮へコーヒーを持って行くかを取り合う。些細な事でもお近づきになれるチャンスを狙っているのだが、チャンスは全くない。

　その後紙面チェックをしている蓮の元へは余程の緊急なことがなければ、誰も邪魔をしには来ない。

　ちょうど一時間たった頃、コンコンとノックと同時にドアが開く。