虹の彼方へ~運命の赤い糸は1枚の写真~  《シリーズ本編》
 ノックの意味があるか?と蓮が内心悪態をつき不機嫌顔になる。

「おっはよ~」

 そこへ全く気にもせず、軽い挨拶と共に毎日やって来る男は、蓮の同期で唯一心許せる桐島海斗アナだ。

「ノックの後は返事を待てっていつも言ってるだろう?」

「俺だってわかってるだろ~」

「はぁ~」

「溜息つかないの」

「誰のせいだよ」

 毎日同じやり取りの繰り返し。

 海斗も容姿が整っている。普段から柔らかい雰囲気(軽いともいう)が、蓮とは対照的だが人気があるアナウンサーだ。

 海斗は、お昼のワイドショーを担当しているので、この時間には出社していて毎日蓮の部屋へとやって来る。

 ちなみに蓮は夕方のニュースの担当なので、この時間に出社する必要はないのだが、なぜか入社当時から八時出社のスタンスを崩さない。

 容姿端麗・冷静沈着・頭脳明晰などなど蓮を誉める言葉はたくさんあるけれど、何より仕事に対して真面目で信頼できることが人気の最大の理由だろう。


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