虹の彼方へ～運命の赤い糸は１枚の写真～ 《シリーズ本編》

仕事終わり奈々は薬局に寄った。

迷いなく妊娠検査薬を購入し、家に帰りひとりトイレに籠もる。

気持ちを落ち着け検査結果を待つ。すると、妊娠を示す線が…検査薬を持つ手が震える。

家族がいない奈々にとって、予想外だが凄く嬉しい。まさか自分が母親になれるなんて。嬉しさで目が潤む。

ただ、蓮にはいつ伝えようか…

奈々はひとりでも産むつもりだが、きっと蓮は喜んでくれるだろう…


奈々が気にするのは蓮の職業だ。


蓮と付き合うようになって知った事だか、蓮は、局アナだが何かあれば週刊誌などに取り上げられる。

蓮はテレビ局の社員だと言うが、誰が見ても芸能人扱いだ。

今日まで蓮と奈々の事がバレていないのは、このマンションのセキュリティが完璧な事とふたりで出掛けた事がないからだ。

蓮は、奈々に窮屈な付き合いをさせている事を気にして、何度か出掛けようと提案したが奈々が断っていた。

奈々の中では、まだ両親の事故の時のトラウマが残っていて、極力騒がれる事を避けたい。