おやすみのキスがないと眠れない。
2.勉強と溺愛
午前の授業が終わり、お昼休みが始まるチャイムが鳴った。
「陽葵、行こ」
そう言って、私の腕を引っ張るのは圭人。
あの、抱きしめられた夜以来、圭人のスキンシップが増えた気がする。
もちろん、あの夜はなかなか寝付けなかったけれど、いつの間にか寝ていたらしく、朝、目を開けたら、すぐ近くに圭人のドアップがあった。
びっくりしたけれど、まだ眠そうな笑顔でおはようと言われてしまい、昨日の事の文句を言えなかった。
「ほら、はやく」
ぼーっとしていた私を立たせて、圭人はいつの間にかふたり分のランチバックを持っている。
「あ、ごめん」
手を引かれたまま、教室を横切る私達。
「相変わらず、仲良いな」
「行き帰りも一緒なのに、お昼も一緒だしな!」
「お熱いですね~」
そう、私達は一緒に住んでいるのでというよりも、昔からだけれど、一緒に登下校をしている。
更には、お昼まで一緒なのだ。
これは、圭人が何故か譲らない。