おやすみのキスがないと眠れない。


クラスメイトの冷やかしにも、慣れたもので、反論しても、実際に行動しているため説得力が無いらしい。


圭人なんて、耳にすら入っていないらしく、何を言われても反応しない。


スタスタと歩く圭人に連れられて、いつもの場所に着いた。


校舎裏にぽつんと置かれているベンチは、私達専用になりかけているため、お昼にここに来る人は余りいない。



「いただきます」



圭人は定位置に座り、早速お弁当を開けていた。


早い......。


私のお弁当箱も開けると、圭人と同じ具材が並んでいる。


ちなみに、このお弁当は私が作ったものだ。



「圭人、今日のはどう?」



昨日の夜から仕込みをしていた唐揚げは、味が染みていて美味しい。


我ながら上手くできたと思う。



「うん、美味いよ」



圭人はいつもそう言ってくれる。


唐揚げはあっという間に食べていたので、美味しいというのは本音だろう。


好きなものを食べる時はあっという間にお腹の中に消えていく。

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