おやすみのキスがないと眠れない。


だけど、嫌いなものも食べてはくれるけれど、最後まで残っているのがいつもの事だ。


今だって、色合いを考えて入れた野菜が残っている。



「野菜も食べてね?」


「わかってる」



唐揚げを食べていた時は、幸せそうな顔をしていたのに、今は残った野菜を睨みつけていた。


ーーほんとに、分かりやすい。


圭人が野菜と戦っている間に、私は先に食べ終わった。



「ごちそうさまでした」



私のその声を聞いた圭人は、残っている野菜をひとまとめにして、一気に口の中に入れた。


もぐもぐと口を動かしてはいるけれど、その表情は決して、良いとは言えない。


最後は、お茶で流し込んだらしい。


全てを飲み込んだ圭人は、ごちそうさまと言って、私に向き直った。



「な、なに?」



顔になにか付いてる?



「5時間目、たぶん陽葵当てられるけど大丈夫なの?」



5時間目ーー?たしか、社会だったはずだ。


今は日本の歴史をやっている。

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