おやすみのキスがないと眠れない。


私には年号とか、出来事とかもう既に、訳が分からなくなっているけれど......。



「なんで、当てられるって分かるの?」


「あの先生、日付の出席番号からいつも順番に当ててるから。たぶん、陽葵の前の人からだから、絶対当たるよ」



なんと......!それはやばい。


復習しようにも、すでに分からないし、予習なんてもってのほかだ。



「ーー教えてください......」


「やっぱりな、ちゃんと聞いといてよ」



圭人は、バカな私とは違って、学年1位の頭脳を持っている。


いつもやる気ないし、家で勉強している所なんて見たことないのに、どういう頭してるんだろう......。



「たぶん、今日当たるところはーー」



そう言って、圭人の説明が始まった。


何も見ずに、スラスラ言い始めた圭人の頭の中は、どうなっているのだろうーー。


今、手元に教科書もノートも持ってきていないので、圭人の説明を聞いて、私が復唱する、というのを繰り返して必死に頭に叩き込んだ。

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