おやすみのキスがないと眠れない。



「1600年関ヶ原の戦い......1615年武家諸法度......」



一夜漬け以下のクオリティだけど、無いよりは良いはずだ。



「うん、合ってる。次行くよ?ーーっと、その前に......ちょっと膝貸して」



そう言い終わるか、終わらないかのうちに、圭人が座っている私の足の上に頭を乗せた。


身体は窮屈そうだけれど、少し大きめのベンチに横になっている。



「えっ、何してーー!」



突然のことで、全身にピリッと電気が走ったように固まる。


太ももに当たる髪の毛がくすぐったい。



「何って、膝枕。いいから、続けるよ」



圭人は、当たり前のように言って、続きを話し始めた。


何か、口は動いているけれど、私はそれどころでは無い。


普段はない足に触れる感触に、背筋がゾワゾワする。


圭人の説明が、まったく耳に入ってこない。


圭人の触れている太ももから、全身に熱が回って、緊張のせいで、下を向けない。


圭人を意識しないよう、必死に前だけを見つめていた。

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